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離れの増築って意外と難しい!?~知っておきたい規制まとめ~

こんにちは、愛知・岐阜の注文住宅&リフォーム 長久手Studioです。
住宅建築のプロが納得できる家づくりのヒントをお話しするこのブログ。
今回のテーマは『離れの増築』です。

子ども世帯のために母屋の隣に離れをつくりたい、母屋と別にアトリエや書斎をつくりたいなど、離れをつくりたいというご相談をいただくことは珍しくありません。
敷地にもうひとつ建物を建てるスペースがある場合、わりと簡単に建てられそうと思うケースが多いようです。
でも、実際に現地の状況を確認すると建てられないとか敷地の分筆が必要なんてこともあるんです。
また、建てられたとしても希望通りの大きさや設備にはできないなど、母屋と同じ敷地の中に建てたいからこそ難しくなってしまう様々な規制があります。
今日は離れを建てようと思ったら最初に知っておきたい各種規制についてお話しします。

なお、最初に大事なことをお伝えしておくと、離れを考え始めたらとにかくまず建築士に現場を見てもらってください。
これからお話しするような様々な規制をクリアして建てられるかどうかは建築士にしか判断できませんので、いろいろ考える前にまず相談するのが肝心です!

 

ポイント① ひとつの敷地にはひとつの建築物

離れを考える上で最初に知っておきたいのが「敷地」のこと。
「敷地」は建築基準法施行令第1条に定義されています。

敷地 一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう。

わかりやすくいうとひとつの敷地にはひとつの建築物しか建てられないという意味なんですが・・・。
「一の建築物」というのはそのまま「ひとつの建物」という意味ですが、「用途上不可分の関係にある二以上の建築物」というところがポイントです。
仮に建物Aと建物Bがあるとして、BがAなしでは意味をなさないときにこのAとBは用途上不可分とみなされます。
例えば、学校の校舎と体育館や商店の店舗と倉庫はいずれも用途上不可分と判断されます。
この用途上不可分というやつ、離れを考える上ではさらに重要な意味合いがありますので、次のポイント②で詳しくお話ししましょう。

 

ポイント② 用途上可分・不可分

建築基準法に「離れ」という用語はありません。
建築基準法施行規則に「一戸建ての住宅」として定義された建物があり、これに該当せず、一戸建ての住宅に付属して使用される建物を「離れ」としています。
わかりにくいですね~。
しかも!最終的に離れとみなすかどうかの判断はケースバイケースで、自治体によっても判断が分かれます。
今回は愛知県の例規集に則って、離れをカンタンに定義してみましょう(愛知県建築基準法関係例規集)

一戸建ての住宅=居室+水廻り3点セット(キッチン・トイレ・浴室)がある建物
離れ=居室+水廻り3点セットの一部がある建物 ※もっとわかりやすく言えば水廻り3点セットが揃っていない建物!

 

愛知県では水廻り3点セットが揃ってないと暮らせない(用途を満たさない)という判断のようで、建築確認申請の際に水廻り3点セットが揃っていれば「一戸建ての住宅」、どれか欠けていたら「一戸建ての住宅に付属する離れ」と判断されることが多いです。
世間一般では同じ敷地の中で母屋と同じ敷地内に建てたらどんな建物でも離れっていうことが多いので、ちょっと感覚が違いますよね。
これを専門用語で用途上可分・不可分といい、水廻り3点セットが揃うと用途上可分、どれか欠けていると用途上不可分というわけです(だいたいの基準で、最終的にはどこまでいっても個別判断ですけど)。
ここで、最初に出てきた「ひとつの敷地にはひとつの建築物」という建築基準法のルールが登場します。
用途上不可分の建築物=水廻り3点セットが揃っていない離れは一戸建ての住宅とセットでひとつの建築物とみなされるので、母屋と同じ敷地の中に建ててOKです(必ずしも建てられるわけではなく、後述の諸条件をクリアしなくてはいけません)。
用途上可分の建築物=水廻り3点セットが揃っていると、小さな建物でも別の建築物とみなされてひとつの敷地の中には建てられないとされることが多くなっています。

ここが希望する離れを建てられるかどうかの最初の分かれ道で、水廻り3点セット付の建物を建てたい場合、用途上可分と判断されたら敷地の分割または分筆が必要になります。
※自治体によって判断が分かれるのが用途上不可分の条件、すなわち「住むという用途を満たすために水廻り3点セットが必要か」という点です。愛知県を含む多くの自治体で原則として3点すべて必要とされていますが、中には浴室は不要等とする自治体もあります。詳しくは建築士または建築確認機関にご相談ください。

 

ポイント③ 敷地の分割または分筆

用途上不可分の離れ=水廻り3点セットが揃っていない建物なら母屋と同じ敷地の中に建てることができるので、この項目は関係ありません。
次のポイント④へ進んでください。
一方、用途上可分と判断される水廻り3点セット有の建物(法律の運用上はもはや離れとは呼べません)を建てたい場合、「ひとつの敷地にひとつの建物」というルールに則って敷地を2つに分けなくてはいけません。
その方法として敷地の分割または分筆があります。

分割と分筆の違いはこうです↓↓↓↓

分割:建築確認申請上の手続き。確認申請に提出する図面上で敷地を2つ以上に分ける。
分筆:登記上の手続き。元の敷地を2つ以上に分けてそれぞれの所有者を登記する。
※いずれもポイント④に記載の諸条件(接道、建ぺい率など)をクリアできる敷地でなければ手続きできません。

 

手続き的には分割の方が分筆よりはるかに簡単ですし、ほとんどの場合、分割で対応できるでしょう。
分筆が必要になるのは、おもに敷地が市街化調整区域にある場合です。
市街化調整区域は都市計画法で定められた「市街化を抑制する地域(都市計画法第7条)」で、この地域では原則として新たに家を建てることはできません。
水廻り3点セット有の建物を建てるには元の敷地を分けなければいけないわけですが、市街化調整区域ではその際に分割ではなく分筆が必要とされるケースがほとんどです(※具体的な運用は自治体によって異なります)。
市街化調整区域ではそもそも建築が認められるとは限りませんし手続きも複雑ですから、とにかく専門家に相談するところから始めるのがよいでしょう。

なお、市街化調整区域でなくても新しく建物を建てる敷地だけを担保に融資を受けたいときには分筆が必要になります。
分筆せずに融資を受けることもできますが、その場合は母屋が建っている土地を含めて登記上1筆の敷地すべて、つまりもとの敷地全体に抵当権が付いてしまうので注意が必要です。
また、もとの敷地が2つ以上の道路に面している場合、分筆した方が固定資産税の節税につながるケースがあります。
どうすると有利になるかは個別のケースによりますので、詳しくは住宅会社の営業スタッフや司法書士など専門家にご相談ください。

 

ポイント④ 敷地と建築物に関する規制

用途上不可分の離れを母屋と同じ敷地内に建てる場合も、敷地を分割して水廻り3点セット有の建物を建てる場合も、敷地と建物に係る各種規制をクリアしなくてはいけません。

①接道義務
建築基準法第43条に、建築物の敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しなければならないと規定されています(建築基準法第43条・第42条より抜粋・編集)。
敷地を分割または分筆するときには、新しくつくる2つの敷地がそれぞれこの接道義務を満たしていなくてはいけません。
母屋と同じ敷地に建てる場合(用途上不可分の離れ)は新しい敷地をつくらないので関係ありません。

②建ぺい率・容積率
敷地は都市計画にもとづいて建ぺい率・容積率が決められています。
母屋と同じ敷地に建てる場合(用途上不可分の離れ)は母屋+離れの合計建築面積がその敷地の建ぺい率を超えてはならず、合計延床面積がその敷地の容積率を超えてはいけません。
つまり敷地面積200㎡で建ぺい率60%・容積率200%の敷地に建築面積100㎡の母屋が建っている場合、離れの建築面積は最大20㎡にしかできないということです。
一方、敷地を分割または分筆して水廻り3点セット有の建物を建てる場合はそれぞれの敷地に建ぺい率・容積率の規制が適用され、それぞれの建築物がそれをクリアしていなくてはいけません。

敷地の分割または分筆をする前に、その条件下で希望の建物が建てられるかどうか専門家としっかり検討することが大切です。
また、このときに建ぺい率いっぱいの状態で分割・分筆するとのちのち増築したくてもできません。
難しいかもしれませんが、将来の可能性までよく考えてどのように分割・分筆するかを決めた方がいいでしょう。
※建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合(建築面積÷敷地面積×100)
※容積率:敷地面積に対する延床面積の割合(延床面積÷敷地面積×100)

③延焼ライン
防火地域・準防火地域では、離れも水廻り3点セット有の建物も既存の建築物(母屋)も、すべての建築物で延焼ラインより外側にある窓を防火戸にしなくてはいけません。
母屋と同じ敷地に建てる場合(用途上不可分の離れ)は、元々の敷地に延焼ラインが適用されます。
敷地を分割または分筆して建てた場合は、新しくできた2つの敷地にそれぞれ延焼ラインが適用されます。


※延焼ライン、防火戸についてはこちらの記事を参照してください↓↓↓↓

このほかにも隣地への陽当たりを確保するために建築物の高さを制限する斜線制限や北側斜線、隣地境界線からの距離、有効な採光面積など敷地と建築物に係る様々な規制を既存の建築物(母屋)・離れ・新しい建物がそれぞれすべて守らなくてはいけません。
離れや水廻り3点セット有の建物を計画するときにはそれらをすべてクリアして希望の建物ができるかどうかを建築士と相談してください。
また既存の建築物(母屋)は離れや新しい建築物ができることで、それまで規制をクリアしていたものがアウトになってしまう既存不適格になる恐れがあるので注意が必要です。

 

まとめ~最初に建築士に相談しよう

比較的気軽に考え始める人も多い離れの増築ですが、このようにたくさんの規制をクリアして初めて建てることができます。
敷地に余裕があるとつい具体的な計画を考えたくなって工事担当者などに相談を始める方もいらっしゃいますが、まずは建築士に相談して希望の建物を建てることができるかどうかの検討から始めてください。

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