愛知・岐阜の注文住宅・リフォーム 長久手Studio | 中島工務店

断熱材の種類別コスト比較&選び方のポイントと中島工務店がグラスウールを使う理由~調湿か、壁体内に湿気を入れないか~

明るい吹き抜けの家→写真をもっと見る ※本文とは関係ありません。

 

こんにちは、愛知・岐阜の注文住宅&リフォーム 長久手Studioです。
住宅建築のプロが納得できる家づくりのヒントをお話しするこのブログ。
今回のテーマは『断熱材の比較ポイント』です。

もはや家を建てるときに断熱について考えるのは当たり前。
モデルハウスを訪ねてくるほとんどのお客様から断熱に関する質問を受けます。
よく勉強しているお客様も多く、断熱材の名前を具体的に挙げてメリット・デメリットを尋ねられたり、「●●という断熱材は使えますか」とリクエストを受けることも。

しかしながら、断熱材は種類によって素材も形状も施工方法も異なり価格帯も幅広いことから、性能とコストの比較は簡単ではありません。
当たり前ですが、寒い地域と温暖な地域では必要な断熱性能も違いますから、そういう意味でもどの断熱材を選べばよいか判断するのはなかなか難しいものです。
というか、どんな断熱材でも適切に施工すれば必ず効果があるので絶対コレがいい!なんてものはありません
素材や特徴、コストなどから自分の考え方に合うものを選ぶのみ。
そのためにまず断熱材の種類別に特長とコストを比較しよう・・・といいたいところですが、そういう記事はネット上にたくさんあるのでまとめるだけにして住宅建築のプロの立場から比較のポイントだけ挙げてみましょう。

ところで、素材や特徴、コストから考え方に合うものを選ぶというのは住宅会社が標準で使う断熱材を決めるときにも言えることで、どの会社も自社の考え方に従って選択しています。
中島工務店ではグラスウールを標準採用していますが、自然素材系(木質繊維系)の断熱材の人気が出てきている昨今「なんでグラスウール?」と聞かれることも多くなっています。
実は、長年にわたっていろんな断熱材を試した末に根拠を持ってグラスウールを選んでいます。
結論をいってしまえば、調湿か湿気をシャットアウトかで壁体内に湿気を入れないならグラスウールという話なんですが。
後半ではそのあたりを取り上げたいと思いますので参考にしてください。

 

断熱材の種類~注意!素材の性能だけでは比較できない

断熱材の種類は素材から分けるのが一般的です。
先ほどもいいましたが、この手の比較記事はたくさんあるのでここではまとめだけしておきましょう。
こんな感じ↓↓↓↓

いちおう、それぞれの特徴のうち特に知っておきたいところだけカンタンに書いておくと。
グラスウール
リサイクルガラスからつくられたガラス繊維が原料。日本で最も普及している。
ロックウール
原料は天然岩石。原料が違うほかはグラスウールとそんなに変わらない。
セルロースファイバー
原料は新聞紙。吸音性が高い。高価。
羊毛
文字通り羊毛でつくられた断熱材。
プラスチック系
原料が違うほかはほとんど変わらないのでまとめちゃいますが、ペット樹脂や硬質ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂などが原料。樹脂の特性によって性能差あり。

ざっくりしていてすみません。
詳しく知りたい方は「断熱材、種類」とか断熱材の名前とかでググってください。
ひとつ知っておいてほしいのは、どの断熱材であれ素材のデータだけから製品としての性能を測ることはできないということ。
それぞれの素材で調べると熱抵抗値や熱伝導率といった数値が出てくると思いますが、それは素材そのものの性能の話。
製品の性能としては密度や厚さも考慮しなくてはいけません。
もちろん素材の性能が高ければ薄くても効果の高い断熱材ができますが、素材の性能で劣る断熱材でも必要なだけ分厚く入れれば必ず同じ性能に到達することができます。
でも壁や屋根に入れられる厚みには限界がありますし、薄くて高性能な断熱材ほど高価ですから、自ずと選択肢は限られてきます。
そこで構造やデザイン(どうしても薄くしたい壁とかあります)、コスト、家づくりに対する考え方などから何を選ぶかという話になるわけです。

 

断熱材のコスト比較~施工費にも注意しよう

ここで参考程度に断熱材のコスト比較をしたいと思いますが、その前にもうひとつ知っておいてほしいこと。
断熱材ってモノによって施工性が結構違います。
施工性がいい=わりと誰でも施工しやすい=施工費が抑えられる、施工精度が上がる というのが基本。
施工性が悪いとその逆で、手間がかかるからお金がかかって施工する人によって精度に差が出やすくなります(=実際の性能にばらつきが出る)。
つまり、コスト比較するなら施工費も考慮しておくべき。
ということで、密度や厚さを考慮してだいたい同じくらいの性能を出すという前提プラス当社で施工したならという想定で施工費も考慮してみました。
最初に「参考程度に」と書いたのはここで、施工費はやはり会社によって違ってきます。
これから挙げる数字はあくまで中島工務店で施工した場合と考えてください。
また、もちろん同じ素材でも製品によって価格差はあります。
そういう意味でも参考ってことでお願いします。

壁の断熱施工

 

では、コストが抑えられる順(はっきりいえば安い順)にいってみましょー!

グラスウール
やはり最安、普及度が違いますから。
これを基準にほかの断熱材がグラスウールのだいたい何倍くらいになるかを考えます。

パーフェクトバリア(ペット樹脂)
グラスウールよりわずかに高いですが、1割も変わりません。

羊毛
グラスウールの1.1倍
意外とお値段控えめ・・・。

発泡ウレタン系
グラスウールの約1.3倍

発泡プラスチックのボード系
発泡プラスチックの中でもボード(板)状の製品。
グラスウールの約1.7倍

セルロースファイバー
グラスウールの約2.5倍
人気のセルロースファイバーがお値段もトップです。

仮に1軒の家をグラスウールで断熱したときに40万円かかるとすると、セルロースファイバーにすると約100万円。
60万円の差はなかなかですが、それでもセルロースファイバーを選ぶ人も住宅会社もあります。
なぜなら、コストのほかにも断熱材を選ぶポイントはいくつもありますから。
次に断熱材を選ぶポイントをご紹介しましょう。

 

断熱材を選ぶ4つのポイント~断熱材が落ちる問題についても

しつこいですが、断熱材は分厚く入れればどんなものでも必ず性能を上げることができます。
なので、ここでは性能は1回忘れましょう。
施主が希望する断熱材が、必要な断熱性能を満たそうと思ったときに構造やデザイン上採用できない場合は住宅会社がそう教えてくれます。
性能と先ほど比較したコストを除いて、お客様がおもに関心を持つポイントと住宅会社が検討するおもなポイントをご紹介します。

ポイント① 自然素材か
無垢の木の家が好きなお客様が比較的気にされるのがコレ。
セルロースファイバーなど木質繊維系や羊毛といった自然素材系がいいとなると発泡プラスチック系は選べませんし、グラスウールなどガラスや鉱物系も好まれません。

ポイント② リサイクル原料か
環境への配慮を重視する場合、リサイクル原料にこだわることもあります。
リサイクルガラスでできたグラスウールやペットボトルをリサイクルしたパーフェクトバリア、新聞紙を使ったセルロースファイバーなどが候補になります。

ポイント③ 施工方法(充填式か外張りか、充填式の中でも成型されたものか吹付けか)
施工性に直結するため、特に住宅会社が検討するポイント。
断熱材の施工方法は大きく分けて2つ、①充填式、②外張りです。
さらに充填式には、成型されたもの(袋に入っているもの、ボード状になっているもの)を壁等の中に入れ込んでいくタイプと現場で吹き込み/吹付けするタイプがあります。
断熱材は隙間なく施工されていなければ本来の性能を発揮しませんが、一般的に吹き込み/吹付けの方が隙間はできにくいといえます。

ポイント④ 難燃性・吸音性・調湿性など付加的性能
断熱材は素材の特性などから、難燃性・吸音性・調湿性など付加的性能を持つものが多いです。
例えばセルロースファイバーの吸音性は特筆すべきです(データでもそうですが、実体験でもそう感じました)。
ここまでに挙げてきたような特徴を踏まえつつ、付加的性能も考慮に入れて選ぶこともあります。
付加的性能のうち調湿性についてはのちほど詳しく取り上げます。

床の断熱施工

 

選び方のポイントではありませんが、お客様からよく質問を受けるのが断熱材の性能が劣化する恐れについて。
特に袋状のグラスウールを使っていると「断熱材が湿気を含むと落ちてしまうんじゃ???」と心配されるケースがよくあります。
様々な断熱材の中でもグラスウールは30年以上前から広く使われてきたため特にそういわれてしまったのだと思いますが、これはすべての断熱材についていえる問題です。
繊維系や羊毛系は施工時の防湿が不十分で湿気を含んでしまったらどの製品でも下がってしまう可能性がありますし、吹付けは接着強度が足りないと木材の乾燥が進んで収縮したときに隙間ができる可能性があります。
ボード系もビスの長さや数が足りなかったりするとはずれてしまいます。
要するに、断熱材が本来の性能を発揮できなくなるのは不適切な施工によるところが大きく、それはどんな断熱材でも同じということ。
できるだけ施工精度が高い方が問題が起こりにくいのは間違いないので、どうしても気になるなら施工性がいい(施工しやすい)製品を選ぶ、社内検査など施工状況を確認するしくみがある住宅会社を選ぶとよいかもしれません(どんな住宅会社でも施工のばらつきは避けられないので性能劣化が絶対に起こらないとはいえません)。

 

調湿VS壁体内に湿気を入れない~中島工務店がグラスウールを選ぶ理由

さて、冒頭で提示した調湿VS湿気をシャットアウト問題。
湿気は木材の腐朽やシロアリの原因になりますから、構造躯体を長持ちさせるためには湿気を入れないに越したことはありません。
これは調湿性を支持する人も支持しない人も、木造建築のプロなら一致する見解のはずです。
壁体内に湿気を貯めこまないために調湿をとるか、そもそも湿気を入れないかというところに見解の違いがあります。

調湿を選ぶ住宅会社は、室内の湿度に応じて壁体内の湿気を室内に放出することで湿気を貯めこまないという考え方です。
しくみとしては、湿度が高くなると室内の湿気を壁体内に取り入れ(吸湿)、湿度が下がってくると取り入れた湿気を室内に放出するというもの(放湿)。
そのために調湿性のある断熱材を選ばなくてはいけないというわけです。

一方、壁体内に湿気を入れない派は吸湿性のない断熱材を採用し、室内側に防湿シートを張って湿気をシャットアウトします。
中島工務店はこちらを支持。
下の図が中島工務店の壁の断面を図解したものです。
室内の湿気を入れないとはいっても壁体内結露を完全に避けることはできませんから、そこは断熱材の外側に防水透湿シート(防水だけど湿気は通す)を張って湿気を建物の外に放出します。

壁体内から室外側に湿気を出すだけで中には入れないというしくみです。
当社は壁体内に湿気を入れないことを重視した結果、湿気を吸わないグラスウールとこのような構造を選びました。
もちろん湿気を吸わない断熱材はほかにもありますが、施工性やコストなどから今のところはグラスウールという結論です。

調湿VS湿気をシャットアウト問題は、現時点でどちらがいいというような結論はありません。
どちらも目的は構造躯体に湿気を貯めこまないことで、今はまだどちらかが圧倒的に優れているというような結果は出ていません。
断熱材の性能や工法もどんどん進化しているので、住宅会社としては情報収集に努めてよりよい選択をしていきたいところです。
お客様は、住宅会社選びの段階では自分がどのくらい断熱材にこだわるのか、全体予算の中でどのくらい断熱材にコストを割くのかを考えてほしいと思います。
また、施工時には適切な施工がされているかを自分の目で確認しましょう。

 

おまけ;中島工務店の断熱材~試行錯誤の軌跡

上に挙げたような理由で、現在、中島工務店はグラスウール(製品としてはアクリア)を標準採用。
壁を薄くしたいときなど必要に応じてネオマフォームスタイロフォームを使用しています。

ネオマフォーム施工の様子

 

当社はこれまで漫然とグラスウールを使い続けてきたわけではなく、様々な断熱材を試しながら今日に至っています。
今回、施工課長にその経緯を振り返ってもらい、採用してきたおもな断熱材とそれぞれに対する見解をまとめてみました。
なお、ここの見解は当時の製品に対するものです。
断熱材も日々進化していますから、現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。

ウレタン吹付け
現場発泡というやつ(例えばこんな製品)。
壁や天井に直接吹き付けるので隙間ができにくいのが特長です。
実はコレ、今でもお客様から希望があればやらないわけではありません。
が、中島工務店としてはあまり採用したくない。
なぜってウレタンを吹き付けてしまうと木材がリサイクルできなくなってしまうから。
無垢の木の家の醍醐味のひとつは何十年、百年と経って解体したときに、その木をまた使えるということ。
古民家再生なんかで古い黒光りする梁や柱を再利用する、アレです。
ウレタンなど発泡系の断熱材を吹き付けると完全に除去することはできませんから、再利用が不可能になります。
環境への配慮という観点からも、木材は再利用できた方がいいと考えます。

パーフェクトバリア
コストのところでグラスウールと大差ないと紹介したペット樹脂を原料とする断熱材・パーフェクトバリア
これはとにかく施工性に問題があったんだそうです。
施工性って要するに切ったり留めつけたりがしやすいかどうかなんですけど、カッターナイフで切れないのが難点。
現在は「耳付」と呼ばれる製品がラインナップされていますが、当時はこれがなく、隙間なく留めつけるのがとても大変だったとか。

セルロースファイバー
お客様から要望が多いセルロースファイバーもやったことあります。
ただ、先ほどお話しした通り、セルロースファイバーの特徴である調湿性が当社の考え方に合いません。
あと、とにかくお値段が高すぎます・・・。

ウールブレス
羊毛の断熱材・ウールブレスは、施工課長いわく「すごくあったかい」んだそうです。
が、こちらもパーフェクトバリアと同じく留めつけにくいなど施工性に問題がありました。
またこちらも調湿性が特長なので、壁の中に湿気を入れる・入れない問題にぶつかってしまいました。

ウッドファイバー
木質繊維の断熱材・ウッドファイバーは長久手Studioの事務所部分の断熱に使用しています。
性能試験中といったところ。
木質繊維だし、とても施工しやすいそうなのでいずれ採用される日が来るかもしれません。

中島工務店はこれからもずっとグラスウールを標準採用するとは限りません。
断熱材はどんどん改良されていますし新しい製品も次々と発表されています。
建築に関する研究が進むにつれて、私たちの考え方が変わることも十分あり得ます。
住宅会社の責任として、情報収集をしっかりしながら最良といえる選択をしていきたいと思っています。

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