愛知・岐阜の注文住宅・リフォーム 長久手Studio | 中島工務店

工場訪問!プレカットのメリットと難しいところを聞いてみた~住宅の構造躯体を支える技術を見てみよう~

 

こんにちは、愛知・岐阜の注文住宅&リフォーム 長久手Studioです。
住宅建築のプロが納得できる家づくりのヒントをお話しするこのブログ。
今回のテーマは『プレカット』です。

プレカットとは建築現場で組み上げやすいように木材の接合部をあらかじめ工場で加工すること。
昔は大工さんが手で加工していましたが(手刻みといいます)、より高い精度で効率よく組み上げるために1990年代から次第にプレカットが一般的になっていき、今では木造軸組工法の住宅の90%がプレカットです(林野庁「平成27年度 森林・林業白書」より)。

今日は一般のお客様があまり見る機会のないプレカット工場を訪問。
プレカットのメリットや難しいところ、加工手順や機械化せず人の手を掛けているところなどを聞いてみました。
断熱性や気密性、耐震性など性能面が重視される現代の住宅建築を裏で支える技術をご覧ください。

 

プレカット工場とは

今回訪問したのは協同組合東濃ひのきの家のプレカット工場。
中島工務店の協力会社です。
中島工務店の本社があるのと同じ岐阜県中津川市加子母にあり、中島工務店を含むたくさんの建築業者からの依頼を請けています。

プレカット工場全景

 

プラモデルを思い出してください。
プラモデルはパーツとパーツをくっつけるために、それぞれの端に凹凸があってパチンとはめ込むようになっていますよね。
パーツに当たる部分、つまり丸太を柱や梁などの角材に加工するのが製材所で、角材と角材をくっつけるためにはめ込む部分をつくるのがプレカット工場というわけです。
はめ込む部分は仕口(しぐち)や継手(つぎて)と呼ばれます。
※仕口:2つ以上の木材を直角or角度のある状態で組み合わせる手法。継手:木材を長手方向に継ぎ合わせる手法。

加工済の仕口

 

機械化が進んでいるので工場の作業員は8人だけ。
このプレカット工場には年間50組ほどが視察・見学に来られますが、一般の方からはよく「人がいない!」と驚かれます。

工場内にはほとんど人の姿がない

 

プレカットの加工手順

次に、プレカットの加工手順を見ていきましょう。
といっても、基本的にはCADに木材の加工データを入力→機械で加工で完了です。
もう少し詳しく写真で見てみましょう。

まずはCAD。
ここで正確に入力されていないと誤った加工がされた木材が現場に届いてしまうので、細心の注意を払って作業が進められます。

オペレーターが機械を操作するとCADで入力されたデータに従って木材が加工されます。

こちらが仕口を加工する機械。
真ん中の青い部分に「1」「2」と数字がついていますよね。
ここに刃物が仕込まれていて、右から流れてきた木材を削って加工します。

このようにほぼ機械化された工程ですが、人の手を掛ける部分もあります。
まずは木を選ぶところ(番付といいます)。
例えばよく目につく柱や梁には収納の中などあまり目につかないところに比べてできるだけきれいな木を選ぶなど、家の中のどこにどの木を配していくかを決めるのは機械を操作しているオペレーターの役割です。
中島工務店の家は木がきれいに見えると言っていただくことが多いのですが、それを支えているのがプレカット工場のスタッフの眼というわけです。

もうひとつ、人の手を掛けるのが丸太の加工です。
四角いものを加工するのは機械が得意とするところなのですが、例えば当社でよく採用している丸太梁は四角くない上に湾曲しているので基準となる線を大工が決めて(墨付けといいます)、それに合わせて手刻みしていきます。

下の画像をご覧ください。
黒い線が大工がつけた墨で、仕口のまっすぐな部分は機械加工でほかの丸太と組むところは丸太の形に合わせて手刻みしています。

機械と人の手、得意な方を臨機応変に組み合わせて効率よく適切な加工をしています。

 

プレカットのメリット

最初にお話しした通り、現在ではほとんどの木造軸組工法の住宅でプレカットが採用されています。
これほどプレカットが普及した背景には、やはりそれなりのメリットが存在します。
ここではおもなメリットを4つご紹介します。

①スピード
最大のメリットはスピードです。
35坪程度の家1軒分の構造材の仕口・継手を加工するとして、手刻みなら1カ月半かかるところをプレカットなら3日でできてしまうんです。

住宅の建築工事は何カ月もの時間がかかります。
プレカットで1カ月半を3日に短縮できたら、その分様々なコストを抑えられて助かりますよね。

建て方の様子 プレカットされた構造材を大工が組み上げる

 

②高い精度
2つめのメリットは機械ならではの精度の高さ。
手刻みの時代、大工さんはどんなにしっかり加工していても建て方の日は「ちゃんと建つかな」とドキドキしていたそうですが、今ではそんな心配はありません。
断熱・気密・耐震など住宅に求められる性能がどんどん高くなっている中で、プレカットはしっかりとした構造躯体をつくる一翼を担っています。

建て方のときには水平・垂直も確認

 

③現場でゴミが出ない
工場ですべて加工して搬入するので現場加工が必要なくゴミが出ませんから、廃棄物処理の手間やコストが削減できます。
一般家庭でもゴミの出し方が年々難しくなっていると思いますが、実は業務用でも同じことが起こっていて現場の廃棄物の処理は頭の痛い問題のひとつになっています。
プレカットならそれを軽減できる上に、端材はチップなどに加工して再利用することもできます。

④先行塗装で作業性と見映えアップ
これはすべてのプレカット工場に言えることではないかもしれませんが、少なくとも中島工務店のプレカット工場では部材の先行塗装を行っています。
先行塗装とは一般的に組み立ててから塗装する部分を、順番を入れ替えて、あらかじめ塗装してから組み立てること。
これにより現場で無理な姿勢で塗装する必要がなくなり手間とコストを削減できるほか、下の記事にあるように組み立てると見えなくなる部分まで塗装できるので、将来木が収縮して隙間ができても元の木の色が見えることなく見映えがよくなります。

組み立てると見えなくなる部分を先行塗装

 

詳しくはこちらの記事で。

 

プレカットの難しいところ

このようにプレカットには様々なメリットがありますが、苦労しているところもあります。
やや専門的になりますが、少し紹介してみると。

①ほぞの勾配
ほぞというのは木材の接合部の突起の方。
完成したら見えなくなる部分ですが、ただ突起に加工するのではなく現場で納めやすいように微妙な勾配をつけています。
一口に木造軸組工法といっても部材の納め方は会社によって異なりますから、それぞれの納まりや現場での作業を熟知していなければできない難しいポイントのひとつです。

②超仕上げを考慮した寸法合わせ
超仕上げとは木材の表面を鉋(かんな)で薄~く削って、特にツルツルに仕上げることを言います。
光沢感があってとても美しいので、化粧で見せる部材に使われます。
が、ほんのわずかですが超仕上げをすることで部材の寸法が小さくなってしまいます(ミリ以下の話ですけど)。
そのわずかな差をあらかじめ考慮して寸法を合わせておくことで狂いを少なくする。
プレカットではそんな細かな配慮もされています。

もちろん、先ほどご紹介した工場スタッフによる木の番付なども家全体の見映えに関わるとても難しいポイントのひとつですし、ときには設計事務所から特殊な形状の加工を依頼されて苦戦するなどもあります。
いずれにせよ、木材だけでなく建築をよく知らなくてはならないのがプレカットの仕事だといえそうです。

 

工場見学できます

中島工務店のプレカット工場には視察や見学の方がたくさんいらっしゃいますが、当社で家づくりを検討しているお客様を対象にした見学ツアーも定期開催しています。
年2回ほど開催される「水と緑の勉強会」です。
水と緑の勉強会ではプレカット工場だけでなく、山で木が伐採されるところから製材・加工を経て家になるまでの一連の流れを実際に見ていただくことができます。
下記の記事で水と緑の勉強会を例に産地見学・工場見学の見るべきポイントをまとめていますので、参考にしてみてください。

最後にひとつ。
プレカットが普及するにつれて大工の手刻みの技が失われていくという懸念が広がっています。
中島工務店は大工の伝統技術の継承は現代の建築に携わる者の責任だと考え、プレカット技術の向上と同時に手刻みができる若手大工の育成にも力を入れています。

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