愛知・岐阜の注文住宅・リフォーム 長久手Studio | 中島工務店

耐震等級3は必要?耐震等級2との違いは?~耐力壁・壁量・壁倍率・直下率・制振ダンパーetc.新築住宅の耐震について知っておきたいポイント~

こんにちは、愛知・岐阜の注文住宅&リフォーム 長久手Studioです。
住宅建築のプロが納得できる家づくりのヒントをお話しするこのブログ。
今回のテーマは『耐震等級』です。

木造住宅の耐震については、どんな規制があって住宅会社・設計士がどのようにチェックしているのかをこちらの記事でまとめました↓↓↓↓


上記記事で耐震の考え方はわかったとして、実際に家を建てるときに気になるのは耐震等級ですよね。
耐震等級は1~3まであり最上級は「耐震等級3」ですが、お客様からは「耐震等級3は必要なの?」「耐震等級2と3はどのくらい違うの?」といった質問をよくいただきます。
そこで今日は住宅の耐震の考え方を復習した上で、耐震等級3の必要性を検討、さらに耐震の観点から住宅の建築業者を選ぶときの注意点をまとめてみました。
先に結論から言ってしまうと、耐震等級3は絶対必要というわけではないけれど、費用と設計上の制約が増えることを納得できるなら耐震等級3を選んだ方がいいです。

この記事でわかること
●住宅の耐震の基本的な考え方
●地震力・耐力壁・壁量・壁倍率・直下率など用語解説
●耐震等級と設計上の制約の関係

 

なお、耐震性をどれだけ高めても「絶対に倒壊しない」といえる建物はありません。
それでも耐震性向上は命を守る重要な手段のひとつなので、家づくりに際してはしっかりと検討していただきたいと思います。

 

住宅の耐震の考え方

最初に住宅の耐震の考え方を復習しておきましょう。
詳しくは先ほどご紹介した記事をご覧いただくとして、基本的なことだけ再度まとめてみました。

まず、住宅の構造について規定した法律は建築基準法と品確法(ひんかくほう;正式名 住宅の品質確保の促進等に関する法律)の2つがあり、それぞれに構造をチェックする方法が定められています。

建築基準法の耐震基準
建築基準法の耐震基準は必ず守らなくてはいけない基準です。
2階建て以下の木造住宅はほぼ「4号特例」に該当し、4号特例では「仕様規定」という次の3つの観点からチェックを行います。
※4号特例:木造2階建て以下、延床面積500平方メートル以下など一定の条件を満たす「4号建築物」に対する規定。

①壁量のチェック:地震力と風圧力に対して必要な壁量を満たしているか確認する。
②壁量バランスのチェック:バランスよく壁が配置されているか確認する。
③接合方法のチェック:柱や梁などの接合部について構造上必要な耐力を算出し、その耐力を満たす接合金物を選択する。

 

なお、鉄骨造や鉄筋コンクリート造、および木造でも3階建て以上の住宅では構造計算が必要です。
注意してほしいのは、建築基準法の耐震基準は「倒壊しない」ことを前提につくられているため、大地震が起こったときには倒壊しないだけで大破する可能性がかなりあるということ。
現実的には住み続けられなくなるケースも十分あり得るので 建築基準法の耐震基準をクリアしているから安心ではないことを知っておいてください。

品確法の耐震基準

品確法にもとづいてつくられた住宅性能表示制度で定められているのが耐震等級です。

耐震等級1:建築基準法に定める基準を満たした強さ
耐震等級2:建築基準法の1.25倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない。
耐震等級3:建築基準法の1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない。

 

耐震等級1=建築基準法の耐震基準で、品確法ではより性能の高い住宅を評価しようとしています。
耐震等級の評価方法基準は次の通り。

①壁量のチェック:床面積に対して必要な壁量を満たしているか確認する。
②壁量バランスのチェック:バランスよく壁が配置されているか確認する。
③床倍率のチェック(等級2以上):2階の床や屋根面の固さを算出(床倍率)、①で求めた必要壁量に応じた床倍率を確保する。
④接合方法のチェック:柱や梁などの接合部について構造上必要な耐力を算出し、その耐力を満たす接合金物を選択する。
⑤基礎のチェック:建物にかかる様々な荷重や外力に対して十分な耐力があるか、基礎の部材の種別や寸法を確認する。
⑥横架材のチェック(等級2以上):建物の自重や積雪荷重などに対して横架材(梁・桁など水平方向に架ける構造材)の強度が十分か確認する。
※項目①②④は建築基準法のチェック方法に準じる。等級2以上ではより詳細なチェックを行う。

 

建築基準法と住宅性能表示(品確法)を比べると、住宅性能表示では建築基準法より詳細に耐震性を評価することがわかります。
例えば、床倍率は建築基準法では考慮されませんが、住宅性能表示では確認します。
ほかにも建築基準法で考慮しない1階と2階のバランスなども住宅性能表示では検討します(詳細はコチラを参考にしてください)。
つまり、より性能が担保されているのはやはり耐震等級2以上の住宅だといえます。

 

用語解説~耐震等級を考えるなら知っておこう!

続いて耐震等級を検討したいところですが。
耐震の話には専門用語がつきものです。
専門用語の意味するところをある程度理解していないと耐震等級が必要なのかどうかを検討することができません。
というわけで、前置きが長くてすみませんが、ここで専門用語を確認しておきましょう!

取り上げるのは「地震力」「ガル」、「耐力壁」「壁量」「壁倍率」、「直下率」です。

 

知っておきたい用語① 地震力、ガル

耐震等級の規定にある「・・・1.25倍の地震力」という、なんだかわからない言葉。
マグニチュードでも震度でもない「地震力」って何なのでしょう。

ここでいう地震力は「ガル」という単位で示される地震の揺れの大きさです。
地震動の加速度が1秒間にどれだけ変化したかを表し、1ガル=毎秒1cm速度が増す力(加速度)です。
ガルは計測地点における地震の大きさを表すため、ひとつの地震でも計測地点によって数値が変わります。

マグニチュードと震度との違いはこんな感じ。

●マグニチュード:地震の規模(エネルギー)を表す。マグニチュードが大きい=地震のエネルギーが大きい。
●震度:地震の揺れの大きさを表す。計測地点によって数値が変わる。

 

う~ん、わかりにくい。
マグニチュードは地震そのもののエネルギーで、マグニチュードが大きくても震源が深かったり遠かったりすると私たちが感じる揺れは必ずしも大きくはありません。
震度は地震の揺れの大きさを示していて、マグニチュードの大小に関わらず、私たちが実際に感じる揺れの大きさを表しています(※実際にはさらに地盤などにも影響されるので、震度と体感は必ずしも一致しません)。
そして、耐震等級を考えるときに用いられるのがガルです。
なぜなら、地震が発生したときに物体にかかる力は「物体の質量×地震の加速度」で測定できるから。
建物への地震の影響を測るには加速度=ガルを考える必要があり、耐震等級に規定された地震力はマグニチュードでも震度でもなくガルだというのがポイントです。

では耐震等級でいう地震力をガルで表すとどうなるかというと。
耐震等級1=400ガルの地震と規定されています。
つまり、耐震等級の規定をガルで言い換えるとこういうこと↓↓↓↓

耐震等級1:400ガルの地震で倒壊しない。
耐震等級2:500ガルの地震で倒壊しない。
耐震等級3:600ガルの地震で倒壊しない。

 

長くなってしまいましたが、まずは耐震等級はガルが基準になっていることを確認しておきましょう。
実際の地震波はいろいろな周期の波を含んでいるので、例えば震度7は何ガルといったことを一概には言えません(参考:気象庁)。

 

知っておきたい用語② 耐力壁、壁量、壁倍率

耐震の話をしているときによく出会う言葉に、耐力壁や壁量、壁倍率があります。
まとめて解説するとこんな感じ↓↓↓↓

耐力壁:地震や強風など建物にかかる力に抵抗して、建物を支える壁。
壁量:耐力壁の量。地震力または風圧力に対する必要壁量の計算方法が定められている(詳細はコチラから)。
壁倍率:耐力壁の強さを表す数値。建築基準法施行令第46条で0.5~5まで定められていて、数字が大きいほど強い。
木造住宅の壁量=壁倍率×壁の長さ

 

耐力壁の壁倍率(ホームズ君よくわかる基準法 壁量計算 より)

 

つまり、こういうことです。
地震や台風に耐えられる建物をつくらなくてはいけない。

そのための必要壁量の基準を満たさなくてはいけない。

十分な耐力壁が必要。

壁倍率と壁の長さでどの耐力壁を使うかを検討する。

必要壁量が同じとき、壁倍率の高い耐力壁を使えば、壁倍率が低い耐力壁を使ったときより壁の枚数を少なくできます。
これが耐震を考えて設計するときに難しい点で、お客様の希望と耐震性をバランスよく実現するためにどんな耐力壁をどのくらい、どのように配置するかに設計士は頭を悩ませています。

 

知っておきたい用語③ 直下率

直下率は、比較的最近取り上げられるようになりました。
というもの、2016年6月に起こった熊本地震で「耐震等級2でも倒壊した建物があり、直下率が低かったことが原因ではないか」とされているためです。

直下率:下の階の柱や壁が、上の階の柱や壁の真下にある割合。

 

つまり、柱や壁がバランスよく配置されている建物の方が倒壊しにくいということ。
実は直下率は耐震等級には直接関係ありません。
なのになぜ取り上げたのかは、のちほどご説明します。

 

耐震等級3は必要か?

それでは耐震等級について検討してみましょう。
先ほど、耐震等級2は500ガル、耐震等級3は600ガルの地震で倒壊しない基準だと確認しました。
ではそれがどの程度の地震なのかというと。
実は、阪神大震災は最大約800ガル、東日本大震災は最大約2,900ガルを計測しており、500ガルや600ガルどころではない地震が現実に起こっています。
これだけ見ると「耐震等級にどれほどの意味があるの?」と思いかねませんが、最大約1,700ガルだった熊本地震で耐震等級3の建物は「無傷」または「一部損壊」にとどまっています。
一方、耐震等級2の木造住宅の中には倒壊したものがありました。
こうした結果から、耐震等級が高ければ絶対に壊れないというわけではないものの、やはりそれなりの強度は確保できるといえるでしょう。
※熊本地震参考資料:国土交通省日本経済新聞

また、現代の日本の住宅の造りから考えても、耐震等級は高い方がよいといえます。
というのも、現代の建築基準法に基づいた家は基礎とその上に乗っている建物をアンカーボルトで接続し、柱や梁などの構造材も金物でガチガチに固めているので、地盤が揺れると家全体が一緒に揺れやすくなっています。
この場合、耐力壁を増やして建物を堅くした方が変形しにくくなりますから、耐力壁を増やす=耐震等級を上げることは理にかなっているといえます。

 

耐震等級2と3の違い

耐震等級3が取れるのならその方がいいといえますが、実際に建てるときにどんな違いが出てくるのかというと。
大きな違いは2点、費用と設計上の制約です。

耐震等級が上がると、必要壁量がいっきに増えます。
耐震等級1を基準とすると、耐震等級2の必要壁量は1.5~1.7倍、耐震等級3の必要壁量は1.7~2.0倍です。
単純に壁の枚数を増やすと考えたなら、耐震等級3の建物は耐震等級1の建物の2倍の壁が必要ということになります。
それだと「壁だらけ!」という感じになりますよね。
実際には壁量=壁倍率×壁の長さなので、①壁倍率の高い耐力壁を採用、②壁の数を増やすという2つの方法を組み合わせて適切な壁の配置を考えることになります。
それでも耐震等級が上がるほど壁は増えるのが基本ですし、大空間や開口が取りにくくなるなど設計上の制約が増えるのも間違いありません。
コストアップも避けられません。
地震に強くしたいなら耐震等級は高い方がいいけれど、それにはコストアップと設計上の制約が伴い、最終的な判断はそれらを受け入れられるかどうかになってくるというわけです。

 

直下率~耐震等級と同時に考えたい

先ほども少し触れましたが、熊本地震では直下率によって建物の被害の程度が変わったことが報告されています。
この経験から、直下率は耐震等級の計算には含まれていませんが、最近では設計時に重視するべきポイントのひとつだと考えられるようになりました。

熊本地震の結果からも理論上も、耐震等級2でも直下率が高ければ倒壊しにくい可能性があり、逆に耐震等級3でも直下率が低ければ倒壊しやすい可能性があるとされています。
耐震等級は高い方がよいのが基本ですが、必ずしも耐震等級3でなければならないわけではなく直下率にも配慮した設計であることが重要だといえます。
住宅会社選びや実際の設計時には、耐震等級にばかり目を奪われることがないよう気をつけましょう。

 

制震ダンパーと耐震等級

もうひとつ、耐震を重視するお客様からご相談いただくことが多いのが「制震ダンパーを採用した方がいいのか」です。
制震ダンパーとは、その名の通り、制震のための装置です。
耐震と制震の違いはこちら↓↓↓↓

耐震:地震に耐えられるように建物を頑丈にすること。
制震:制震装置を使って地震の揺れを吸収すること。

 

 

制震ダンパーを入れると地震の揺れを吸収して建物の変形を抑えられるので、左官壁のひび割れやクロスの剥がれを少なくしたり、家具が倒れにくくなるといった効果が期待できます。
耐震性を高めて建物の倒壊を防いだ上で、制震ダンパーがあればさらに内部の被害を抑えられるというわけです。
制震ダンパーの中には「繰り返しの地震に強い」とされているものもあります。
例えば熊本地震では本震には耐えたもののその後の複数回の余震で倒壊した建物が多かったとされていますが、そのような地震の場合には耐震プラスアルファの効果が見込めそうです。
ただし、逆にいうと耐震性が低い建物に制震ダンパーを入れてもあまり意味がありません。

また、制震ダンパーは製品によって耐震等級に影響するものとしないものがあります。
耐震等級は壁量など建物を強くするための性能を評価するため、制震という機能そのものは耐震等級に関係ありません。
ですが、制震ダンパーの中に耐力壁としても国の基準を満たして認定を取得している製品があり、その製品を入れれば制震ダンパーひとつで耐震+制震両方の機能を満たすことができます(例えば3M木造軸組用摩擦ダンパーなど)。

制震ダンパーはひとつ10万~数十万円ほどで、建物の規模や形状によって複数個入れなくてはいけませんから、採用するならそれなりの費用がかかります。
同じコストをかけるなら耐震等級を上げる方が建物が倒壊する可能性が低くなりますから、採用するかどうかは設計士とよく相談して決めてください。

 

耐震等級で地震保険が割引される!

ここで、もうひとつお客様からよくいただく「耐震等級が高いと地震保険が割引されるってホント?!」という質問にお答えしましょう。
ハイ、耐震等級によって地震保険の保険料が割引されます(火災保険の地震保険特約を含む)

多くの保険会社で耐震等級1で10%、耐震等級2で30%、耐震等級3で50%の割引があります。
こくみん共済の「住まいる共済」など割引がない保険もあります。
具体的な保険料や割引率、必要書類などは各保険会社にご確認ください。

 

耐震の観点から住宅会社を選ぶポイント

耐震等級について検討してきましたが、結論はこうです↓↓↓↓

耐震等級の考え方
●コストアップと設計上の制約を受け入れられるなら耐震等級3にした方がいい。ただし必須ではない。
●耐震等級と同時に直下率を考える。
●制震は耐震性を高めた上で考える。

 

最後に、耐震の観点から住宅会社を選ぶときのポイントをまとめておきます。
住宅会社を選ぶ際に、設計士が耐震等級と同時に直下率まで考えてくれる、間取り優先でなく構造も含めて考えてくれるかどうかをみきわめてください。

直下率の重要性はここまでに述べてきた通りです。
耐震性については各住宅会社で基準や標準仕様があると思いますが、耐震等級はもちろん、直下率についても基準があるかどうかを確認しましょう。
直下率は比較的最近検討され始めたことなので、会社によってはまだ具体的な基準にはなっていないかもしれません。
その場合は、直下率に対する会社の見解を聞いてみてください。
具体的な説明ができないようだと、耐震に関する知識のアップデートが十分ではないかもしれませんので注意が必要です。

また、間取り優先で構造については「大丈夫です」「任せてください」といった対応をする住宅会社・設計士も信頼してよいかどうか慎重に判断しましょう。
耐震については様々な理論や実験にもとづいて性能向上が図られていますが、まだまだわからないことがたくさんあり、きちんとした知識のある設計士ならそう簡単に「大丈夫です」とは言えません。
中には「耐震は難しいから」といった理由でお客様には説明しないけれど裏では十分検討している、という設計士もいるでしょう。
しかしながら、そのような設計士とただ安請け合いしているだけの設計士の違いは「大丈夫です」という言葉だけでは判断できません。
任せてと言われても、具体的に説明してもらいましょう。

 

中島工務店の耐震基準

いろいろ言ってきましたが、では中島工務店はどうなの?というと。
当社は耐震等級2以上、柱の直下率60%以上、壁の直下率65%以上、耐力壁の直下率50%をめやすに設計し、専用ソフトで検証しています。

耐震等級2は絶対、等級3にするかどうかはお客様の希望を踏まえて決定します。
耐震等級2でも3でも直下率は十分検討して設計します。

現代の住宅には様々な制限があるため、耐震性については、設計士でも計算しなくては確かなことは言えません。
プランのときにだいたいめやすをつけて設計しますが、計算してみるとさらに壁が必要になる場合もあります。
プラン→実施設計→検証→修正というプロセスを丁寧に行い、間取りなどお客様の希望と耐震性を両立するよう努めています。

来場予約はこちら