こんにちは、愛知・岐阜の注文住宅&リフォーム 長久手Studioです。
住宅建築のプロが納得できる家づくりのヒントをお話しするこのブログ。
今回のテーマは流行の『壁紙DIY』です。
最近、壁紙(クロス)DIYが流行中です。
巷には、はがせる壁紙やシール壁紙など手軽に壁をリフォームできる商品がたくさん!
YoutubeやインスタなどのSNSでも張り替え解説動画がたくさんあって、誰でも気軽にチャレンジできそうです。
新築住宅でも10年もするとクロスのつなぎ目が目立ってきたり汚れたりするので、壁紙は早い段階でリフォームしなければならないものの代表格です。
それが自分でできたらなんだかとてもお得そうですよね。
自分の家を自分でメンテナンスする人が増えるのは、私たち住宅のプロから見てもとても嬉しいことです。
というわけで、今回は家づくりのプロである中島工務店が壁紙DIYのコツを伝授します!
また気になる壁紙DIYのコスパも検証。
クロス屋さんに頼むよりどのくらい安くなるのか、注文住宅の新築時のコストダウン策として使えるのか?などを具体的に解説します。
なお具体的な手順は解説動画などがたくさんあるのでここでは取り上げません。
コツに絞って紹介するので参考にしてください!
●壁紙DIYのコスパの真実
●クロス職人さんの技術
●新築の場合のコスパ
Contents
元の壁紙をキレイにはがす方法
早速、自分で壁紙をきれいに張っていくコツをご紹介します。
まずは元の壁紙をキレイにはがす方法。
これは元の壁紙によって異なります。
壁紙には等級があり、注文住宅などで使われるハイグレード品なら初めての方でもかなりキレイにはがせるでしょう。
一方で賃貸住宅などで使われる量産品ははがす前提でつくられていないので、ハイグレード品に比べるとはがしにくくなります。
では壁紙をキレイにはがす方法はというと。
まずカッターなどで切れ目をいれてはがし始めましょう。
ヘラを使うとはがしやすいです。
コンセントカバーやスイッチプレートもあらかじめはずしておきましょう。
基本的には力づくでめくっても大丈夫!
元の壁紙の上に貼ってもいい?
賃貸住宅などでも使える、元の壁紙の上から貼る製品も増えています。
元の壁紙が一般的なビニールクロスなど表面が比較的平滑なものの場合は、上から貼ってもそれほど問題ありません。
念のため、どこか目立たないところで小さな面積で試してみるのがよいでしょう。
和室などで使われている
聚楽壁など表面に凹凸が多い壁は上から壁紙を貼るのには適していません。
どうしても壁の印象を変えたいときはプロに相談した方がよいでしょう。
壁紙DIYのコツ ①柄合わせ
壁紙を貼るときにとても難しいポイントのひとつが柄合わせ。
柄にもよりますが、つなぎ目がキレイに合っていないととても残念な仕上がりになってしまいます。
のちほどご紹介しますが、プロのクロス職人さんは職人ならではの方法で柄合わせをします。
一般のお客様がやるならこのあたりがポイント↓↓↓↓
①難しい柄を選ばない
複雑な柄もそうですが、水平垂直がわかるデザインのものも意外と難しいもの。
一般の方がやるなら、できるだけ目立たない柄のものが貼りやすいでしょう。
②壁にのりを塗って、何度か貼り直せる製品がおすすめ
シールタイプや水で貼る製品がたくさんありますが、それらよりも壁にのりを塗るタイプがおすすめ。
シールや水のものは一見すると素人でも貼りやすそうに見えますが、貼るときに意図しない場所がくっついたり、貼り直すと粘着力が落ちるなど実は扱いにくいものが多くあります。
おすすめは壁紙を折りたたんでおいて、のりを塗った壁に上から貼っていく方法。
ちょうど屏風のようにオモテとオモテ、ウラとウラが重なるようにたたんでいき、貼るときには端から持ち上げていくとキレイに貼れます。
それでも曲がってしまったり空気が入ったりすることはあるので、できれば何度か貼り直せる製品がよいでしょう。
貼り直すとだんだん粘着力は落ちるので注意してください。
壁紙DIYのコツ ②しわ
やってしまいがちな失敗の代表が「しわ」。
壁紙の下に空気が入ってしまったり、よれてしまうのが原因です。
まずは、しわの原因になるホコリなどをあらかじめキレイに拭き取っておきましょう。
少し空気が入ってぷくっと膨れたくらいなら、針を刺して空気を抜くと目立たなくなります。
ぷくっとなっているときには空気を抜いておかないとそこから剝がれてくるので、必ず抜きましょう。
壁紙にも厚いものと薄いものがありますが、厚手のクロスの方が下にホコリなどが入っても目立ちにくいです。
プロが使うクロスでも一度剥がしてから貼る前提のリフォーム用の製品は、一般的に新築用より厚手です。
購入前に触って確かめた方がよいですが、DIY用のクロスはだいたい厚手なのでそれほど心配はいりません。
壁紙DIYのコツ 上級編 ①割付
柄合わせができてしわがなければ、そこそこキレイに仕上がります!
が、もっとキレイに仕上げたいなら最初に割付(わりつけ)をしましょう。
割付とは、最初に配置を決めること。
例えば下の図を見てください。
例1と例2は背景の壁(グレーの部分)に同じ大きさの壁紙(オレンジの部分)を配置したものですが、例1は両端に細い四角ができています。
例2はそれがなく、比較的大きな四角の組み合わせになっています。
一般的に細い部分がない例2の方が見た目がキレイで、例1のように細い部分ができると貼りにくい上に切り取って捨てる部分が増えるのでもったいないことにもなります。
変なサイズの部分ができないようにあらかじめサイズを測って割付すると、よりキレイに仕上がります。
壁紙DIYのコツ 上級編 ②垂直を出す
できるなら最初に糸などを垂らして垂直を出しておきましょう。
建築物は住んでいるうちに変化していくため、本当に垂直な壁や柱はほとんどありません。
下図の例3はわかりやすくするために極端にしていますが、日常生活で気にならない程度に斜めになっていることはよくあります。
例3のようなケースでは、壁が垂直だと思って端に合わせて壁紙(オレンジ部分)を貼っていくと、だんだん左上に上がっていってしまいたいへんなことになります。
そうならないために、最初に垂直を出しましょう。
糸の先にちょっとした重りをつけて垂らすと垂直がわかります。
あとはその垂直に合わせて、例4のように壁紙を貼っていきましょう。
両端の斜めの部分は最後に遺し、壁の形に合わせて壁紙を切れば完成です。
壁紙DIYのコスパは?
ここまでに壁紙DIYのコツをご紹介してきましたが、クロス屋さんに依頼するのと自分で貼るのとではどのくらいコストに違いが出るのでしょうか。
6帖1間の壁を貼ると想定するとこんな感じです。
※ドア、180cm程度の収納、窓がある想定で作業面積を計算。
クロス職人 | 一般の人 | |
---|---|---|
費用 | 4万円程度(クロス代+作業費) | 1~1.5万円(クロス購入費) |
所要時間 | 2~3時間 | 半日~1日 |
一般の人の所要時間半日~1日はある程度DIYの経験がある人を想定しています。
まったく初めてのDIYだと、人によってはもっとかかるかもしれません。
自分の時間をかなり取られることを考えると、絶対DIYがお得!!といえるほどの差はないかもしれません。
クロス職人さんに依頼した方が仕上がりがよいのは間違いありませんが、自分で貼った壁紙というのも愛着が湧いていいものです。
自分の住まいを自分で手入れするという点ではDIYにもぜひチャレンジしてほしいと思います。
クロス屋さんに依頼した方がいいケース
ただしクロス職人さんに依頼した方がいいと断言できるケースもあります。
それは複雑な柄、好きな柄を貼りたいとき。
これはもう、クロス職人さんでなくてはできません。
実際、DIY用の壁紙はプロ用の壁紙に比べて種類が少ないです。
プロ用のカタログにはとても複雑なデザインのものがたくさんあって、見ているだけで楽しくなります。
壁紙のデザインにこだわるなら、プロに相談してプロに貼ってもらうのが絶対におすすめです。
↑注文住宅用のクロスの例。こんな柄は素人では絶対合わせられません!
自分でやるなら1面だけのアクセント壁やトイレなど狭い面積の壁がよいでしょう。
広い面積で壁紙が歪んでいると、デザインにもよりますが空間が歪んで知覚されるので気持ちが悪くなってしまうこともあるのでご注意ください・・・。
ちょっとだけ紹介!クロス職人さんの技術
柄合わせのところでちょっと触れたクロス職人さんの技術をチラッとご紹介します。
プロのクロス屋さんは柄合わせのために2枚の壁紙を一度重ねて貼り、つなぎ目のところで両方のクロスを切ります。
わかりにくいですね・・・絵で描くとこんな感じ。
わかりやすくするためにクロスAとBの色を若干変えてありますが、同じクロスだと考えてください。
青い点線のところをつなぎ目にしたい場合、赤矢印の部分をA・B2枚重ねて貼ります。
クロスAの上にクロスBを重ねれば、両方の柄が見えているので柄合わせがしやすいですよね。
いったんこうしておいてから、青い点線のところで2枚ともクロスを切ります。
こうするとAとBがキレイにつながるというわけです。
プロのクロス職人さんが使うクロスはこのように作業する前提で、クロスの端の部分の裏にはあらかじめビニールがついています。
ビニールがあれば下地のプラスターボードを切らずに上のクロスだけをキレイに切ることができるからです。
プラスターボードに切れ目が残るとそこからクロスがはがれやすくなるので、これをキレイに処理できるかどうかがクロス職人さんの腕のみせどころでもあります!
このような技術あっての仕上がりでもあるので、キレイに仕上げたいならやはりプロに相談しましょう。
新築で壁紙DIYはコストダウンになる?
最後に、新築の場合に壁紙DIYがコストダウンになるかどうかを検討しておきましょう。
結論から言うと、コストダウンにはなるけれどおすすめはできないです。
30坪程度の家の壁紙をすべて自分で貼ると想定しましょう。
DIYならおよそ10万円くらいのコストダウンになる一方、キレイに貼ろうと思うと作業時間は1週間くらいかかります。
現実的に1週間ぶっ通しで作業できる人は少ないので、お仕事終わりや休日に作業すると1カ月以上かかることもあり、そのあいだは住み始めることができません。
壁紙に限らず新築で仕上げのDIYを希望されるお客様はいらっしゃいますが、完成までにかなりの期間がかかってご家族内でのトラブルに発展するケースも見られます。
新築の場合はパテ処理が必要な点にもご注意ください。
壁紙を貼る前にプラスターボードのビスの部分をパテで平滑にする作業が必要ですが、これは一般の人にはとても難しい作業です。
また天井のクロスは素人が貼るのはものすごく難しいので、パテ処理と天井のクロスだけでも職人さんにやってもらった方がよいでしょう。
ですが、そこまでやるとそれなりの費用がかかるのでコストダウン効果は薄れます。
さらに「貼り方を教えてほしい」といった場合には指導にかかる時間にも費用が発生し、壁紙を貼り終えるまで次の工程に進めないため、その間の各種費用がかさむとかえって費用が高額になる場合もあります。
つまり新築の壁紙DIYはほとんどのお客様にとってあまりプラスにならず、おすすめはできません。
一カ所だけ、1部屋だけなどを記念に貼る。
コストダウンにこだわらず、住宅会社の人に教えてもらいながら楽しんで貼るのがよいでしょう。
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